ヘ音記号のひとりごと

モノ多め、音多め。日々徒然なるままに生きていきたい。

原発はいるか、いらないか。

中学生が原発に対して書いている文章を読みました。非常に明快な内容で主張もはっきりしています。原発問題については賛否両論ありますが、どちらにしても自分の立ち位置はしっかりとしておきたいところですよね。

原発はいるか、いらないか。

本ブログで取り上げるのは少々刺激的な内容かもしれませんが、少し気になったので取り上げさせていただきます。

中学一年生が、原発はいるのかどうかという素朴な疑問を持ち、Internetで情報を仕入れることで素直に仮設を立て、反証していく非常にわかりやすい記事です。地震の問題から原発の危機意識がクローズアップされていますが、正直わからないことだらけでした。この中学生にいろいろと教えられた気がします。

大きく論点は4つ。

  1. 原子力発電の仕組み。私が理解していなかったのでとりわけ参考になりました。よく専門家の方が説明してくださる機会が多いのですが、それでもよくわからない。wikipedia先生でもよくわからない。池上さんがやっていたころの「週刊こどもニュース」は秀逸でしたが、最近それも見ていないなぁ。
  2. 原発にかかるコスト。個人的には、原子力発電の唯一かつ最大の存在意義はここにあると思っていたのですが、この中学生のリサーチによるとリスクに対するコストまでは検討されていないようです。
  3. 総発電量が充足するかどうかの問題。みんなで知恵を出し合って節電しよう、という非常に簡潔でわかりやすいことが記載されています。
  4. 食品に対する放射線量基準値の問題。これはあまりメディアで大々的に報道されていないことですね。なかなかセンシティブな問題のため取り上げにくいのかもしれませんが、一基準として、諸外国と日本を比較すると日本のみが異常値ということは明快かもしれません。

以上の点を踏まえ、私が思ったこと。

  • コストに関しては、唯一の生命線であった「安い」原子力発電が音を立てて崩壊しかねない鋭い指摘だと思います。目に見えないコストをどのように算定するかは現代の社会でも検討が必要な分野ですが、ことリスクに対する可視化という部分では、日本人お得意の「臭いものには蓋」的文化があるような気がします。詳らかにすべてを明らかにした上で、リスクも数値化した上で、コスト比較すればいいのに。と思ってしまうのは理系脳に毒されているからでしょうか…。
  • 放射線量基準値の問題に関しては、大変難しい。もし他国並みの基準を設けた瞬間に、東北の農業、漁業は一瞬で崩壊します。政府や民間が決めた基準も大事ですが、自分の決める「モノサシ」をもって物事を計らないと、後日痛い目をみるのは自分なのかもしれません。とはいっても、福島県産の果物とか美味しいし。普通にたべちゃいますよね…。

私達は今、情報の波の中で生活しています。一方的に与えられる情報だけではなく、自分で好きなときに好きな情報を入手できる時代です。波に乗り遅れまいとして情報を積極的に取り入れることも大事ですが、自分の中で消化できないままだとモンモンとしますし苦しいだけです。まず情報に当たる際には、ニュートラルな視点から発信者の意図を読み取ること。自分が知らなかった意見は素直に受け入れ、その上で反論する場合は的を射た反論をすること。基本的なことですが、なかなか忙しい社会の中でなおざりになってしまうことです。この中学生の視点に負けないよう、常日頃から自分の刃を研いでおかないと、情報という名の敵にやられてしまうかもしれない。そう感じた時でした。