ヘ音記号のひとりごと

モノ多め、音多め。日々徒然なるままに生きていきたい。

ビブラートの基本はコーラの缶。

弦楽器奏者に避けては通れないビブラートの練習。初めて音を揺らす感じは難しいと思いますが、基本的な身体の動かし方は「コーラの缶を振る動き」と一緒です。お手元にコーラor缶コーヒーを用意して、思いっきりシェイク!同じ動きを楽器でやってみましょう。

本日朝、作曲家そして編曲家として有名な真島俊夫さんがお亡くなりになったと伺いました。真島節はシャレオツなハーモニーが特徴で、ご本人もワインの好きなカッコイイ先生でした。心より、ご冥福をお祈りいたします。

ビブラートの基本はコーラの缶。

コントラバス弾きに限らずですが、弦楽器奏者にとっては避けては通れない奏法、それが「ビブラート」です。管楽器と違ってビブラートをかけることが奏法の基本になっていたりしますし、ビブラートをかけて演奏した音は「上手く」聞こえます。が、ビブラートってどうやってかければいいの?という質問を聞くことがあります。他の楽器の人には「そんなの、感覚でかけるのさ!」と返すのがセオリーなんですけど、弦楽器初心者相手の場合にはそうはいかない。一番簡単なのは、近くに行って手取り足取り教えること。本を読むより見ること、見るよりもやってみることが10倍、いや100倍早く感じることができるのですが、なかなかそうはいかないのがこの世界なんですよね…。

私もビブラートに憧れていた時期がありました。楽器を始めてまだ数週間、始めて先生から教わった時に恐る恐る聞いてみました。すると、その先生はこう答えてくれました。

  • 嫌いな先輩はいるかい?
  • そんな先輩から「コーラ買ってきて!」と言われたこと、ない?
  • コーラをそのまま渡すのは癪だから、コーラの缶を思いっきり振ったこと、ない?
  • それと同じ感覚なんだよ!

・・・はい?当時の私はポカーンでした。が、この通りやれば本当にビブラートになるんです。もうなんていうか、目からウロコ落ちまくりだったんですけど、要点を説明しますね。

  • コーラの缶(今やペットボトルですよね…)を振るとき、支点は「肘」になりますよね?肘を基準に、大きく上下運動させますよね?(うまく言えないんですけど、お近くの缶コーヒーを上下に降っていただければその動作になりますので、是非やってみてください)
  • この上下運動を、指板に置いた左手の親指を動かさずにやってみてください。最初は2番(中指)だとわかりやすいですね。親指と中指は指板を挟んで並行の位置にありますから、しっかり指板を抑えて上下運動させてみてください。そうすると、一定の基準をもって音程が上下に揺れるのがわかると思います。これが基本。1番(人差し指)でも4番(小指)でも一緒です。1番の場合は握力が必要になったり、4番の場合は1、2番を同時に抑えるので運動性が悪くなります。
  • ビブラートの最初は、メトロノームを参考にビブラートをかける練習をしてみましょう。テンポ=60で、1拍毎にアーウーアーウーと揺らす練習。慣れてきたら8分音符でアウアウアウアウと揺らす練習。そんな風に、それぞれの音、それぞれの指で、それぞれの速度で「音を揺らす」練習をしてみましょう。
  • この感覚を覚えられれば、あとは曲中や個人練習で積極的にビブラートを使ってみましょう。技術は覚えるだけではダメです、使ってみて始めて上手くなるんです。最初は自分のビブラートの音に違和感しか感じないでしょうけど、それを乗り越えることができれば自由に、ビブラートが使えるようになります。これができるようになると、すっごく上手くなった(気分)になります。自己満足もすごく大事。
  • お勧めとしては、すごーくカンタンな教則本をメロディックに弾くことなんかをやってみる。シマンドルの最初の方のページだって、それなりに音楽的に弾けばかっこ良く聞こえるもんです。メロディーをとるのが難しい場合には、たとえば(オケなら)チェロ譜のものすっごくカンタンな曲集とか、(吹奏楽なら)トロンボーンやユーフォニアムのすっごくカンタンな曲集とかがいいかもです。チェロ譜は弦楽器として面白みがあるのでオススメ、管楽器は音域が緩やかなのでオススメです。テューバ譜は低すぎて読めないのと、ポピュラー譜を見つけにくいことがネックです…。
  • ビブラートが出来るようになったときに質問を受けるのは、ビブラートをかける速度。たまにゆっくりの曲で全音符を超高速ビブラートかけている学生さんを見かけますが、ビブラートはいろいろな表情をつけるためのもので速度を競うものぢゃーないんです。ゆっくりのビブラート、早いビブラート、両方共大事。高音域のビブラートのほうが気持ちがいいので多用したりしますけど、、、そこは弦楽器ならではの自己満足でいいんじゃないかと。
  • ビブラートが100%必要か、というとそうではありません。チューニングするときにビブラートかけてないですよね?音を過度に揺らす必要がないときは、ノンビブラート奏法も大事です。その辺りは臨機応変に対応しましょう。基準としては、合奏体の中で「あれ、おかしい!?」と思ったらビブラートを控えてみましょう。人と一人だけ違うことをして目立ってしまうときはサッと引いて、目立つ必要のあるときはスッと出る。駆け引きが大事ですよ。

文章にすると、ビブラートって難しい。結構感覚的なものですからね。でもやってみると幅がとっても広がるし、弦楽器特有の愉しさ、美しさを感じれるのもビブラートの特徴。マスターするには時間がかかるけど、少しずつ身体もならしていければいいですよね。

シマンドル: 30の練習曲/カール・フィッシャー社/コントラバス教本

シマンドル: 30の練習曲/カール・フィッシャー社/コントラバス教本

 

カンタンな曲集もご紹介。シマンドルの1巻ができればなんてことはないレベルの教本です。つーかシマンドルの20ページくらいまで進んでしまえばある程度弾けます。基礎練教本と捉えずに、メロディーを弾けることが楽しい、そう思えるようになるまでいけるといいですよね。もちろん、ビブラート(ひいては歌い方)の練習にもなりますよ。