ヘ音記号のひとりごと

モノ多め、音多め。日々徒然なるままに生きていきたい。

時代はDorico?~(2)インストール編~

楽譜を書くソフト、Dorico。このソフトを使うまでのeLicenserControlCenterが本当に、本当に、本当に素晴らしいソフトでむっちゃげんなりしました。インストールにお悩みの方、ご武運をお祈り申しあげますm(_ _)m

本日の駄文

先週末、安倍首相が総理の座から降りることになったニュース。個人的には、病院に2回も通院していた時点で、すでに体力的な限界があったのかなぁ、と考えていたので、これからは肩の荷を下ろして、ゆっくり養生いただきたいなと思っています。どんな組織であれ、トップは体力と精神力を著しくつかうもの。一国の旗振りする立場ならなおさら。長きに渡っての激務、大変にお疲れさまでした。

時代はDorico?~(2)インストール編~

わたしは現在、Dorico(ノーテーションソフト≒楽譜浄書ソフト)をインストール完了し、利用できる環境が整っています。使い心地はかなり良く、Finale使いの友人がすすめるだけのことはある、素晴らしいものです。詳しいレビューは次回の記事にしようと思いますが、だいたいの操作が直感的に実現できるもの。ショートカットキーも覚えてしまえば、ほぼほぼ自由なこと(Finaleレベル)のことができるのではないかと感じています。

しかし。ここにくるまで本当に疲れました。自分の端末へDoricoをインストールするのが本当に、本当に、本当に(すごく大事なことなので3回言いました)大変だったのです。ソフト自体の使い勝手はすこぶる良いのに、導入の難しさから諦める人が多発しているのではないか、という懸念があります。というわけで、今回はそのInstall時に引っかかった数々の事例をご紹介し、少しでもDoricoを使おうとする方の一助になればと思っています。

(注:このライセンス問題は、いわゆるDAWソフトのCubaseなどともライセンス形式が一緒である、Steingberg社のライセンス管理形式(eLicenserControlCenter)全般に言えることだろうと思います。Cubaseの導入に引っかかっている方もご参考になれば嬉しいです)

忙しい方のためのチェックリスト

過程が膨大な量になると思いますので、とりあえず結論だけ先に書きますね。

  1. インストールする順番を間違えないこと。順番を間違えてしまうと致命的なミスに繋がり、リカバーに大変な時間を要します。
  2. 常駐型ソフト(とりわけウイルス対策ソフト)との致命的な相性問題があること。(私の実績では、WindowsDefenderは問題なし。ESETは共存不可、Nortonは設定したせいか共存できています。)
  3. プログラムを「管理者権限で実施」するようにプロパティを変更すること。ユーザー権限だとうまくライセンス読み込み行ってくれないケースが多々発生。
  4. 一度インストールに失敗した場合、もう一度最初からやってみること。ただし、「プログラムの追加と削除」だけでは消えないゴミが残る★大変なクソ仕様★なので、再インストール時には追加で以下のファイルを削除すること。(存在しないファイルは問題なし)
  • C:\Windows\system32\"SynsoNos"、"Synsopos"、"Synsoacc"と付くすべてのファイル
  • C:\WINDOWS\system32\drivers\SynasUSB.sys
  • C:\WINDOWS\system32\drivers\SynUSB64.sys
  • C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOACC.dll
  • C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOACC-Hilfe.chm
  • C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOACC-Help.chm
  • C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOACC-Aide.chm
  • C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOPOS.exe
  • C:\WINDOWS\inf\SynasUSB.inf
  • C:\WINDOWS\inf\SynUSB64.inf
  • C:\ProgramData\eLicenser
  • C:\ProgramData\Syncrosoft

以下、詳細です。

eLicenserControlCenterの基本的な動きについて

(私なりの解釈なので、あまり突っ込んだ質問されても困っちゃうのでかる~く聞き流してください)

Doricoを発売している元会社は「Steinberg」社です。こちらは昔からCubaseというDAWソフトを発売している老舗の会社です。この会社が自分のソフトを勝手に利用されないように(コピーされても動かないように)作っているコピーガードの仕組みが「eLicenserControlCenter」というソフトです。

基本的な前提として、ソフトを購入した人は以下2つの方法のどちらかの方法をとります。

  1. ライセンス権を記載したファイル(Synsopos.exe)をUSBに書き込むことで、ソフトを利用するたびにUSBを抜き差しして管理する。同じ方が違う環境でソフトを利用する場合に有用ではあるが、USBポートを一つ塞がれるのが少し気に食わない。
  2. eLicenserControlCenter(ソフト)がインストールされたPCに固有の番号(10桁+10桁の20桁)を自動的に付与し、Steingberg社へ通信することで固有のライセンス番号をPC単位に付与する。このライセンス番号はPC1台につき1回こっきりの番号であり、PCを買い替えやライセンスの移管をする際には新しくライセンス番号を申請する必要がある。

私が利用しようとしていたPCは方法は、2.の方法です。(従来ながらのUSB抜き差し形式が古臭い方法と感じてしまったため)しかししかし、PCに対して十分な知識がない方については1.の方法を選択するほうが確実かつ面倒くさくないのかもしれません。

インストールの順番について

上記仕組みがわかっていれば、インストールする順番はあまり気にしなくても実は大丈夫だったりするのですが、肝は「eLicenserControlCenter」がどのタイミングでPCにインストールされるかです。このソフト、一度インストールされたら基本的にずーーーーっとPCに居座り続けます。よって、最悪OS再インストールとか要求されるかもしれません…。ですので、ここは基本的には指示されている通りのインストール方法でトライしましょう。

Dorico インストールガイド | Steinberg

基本的に、インストールする順番は(Steingberg社への登録が終わった後に)

  1. Steingberg Download Assistantのダウンロード&インストール
  2. 1.を利用してDoricoのプログラムファイルのダウンロード
  3. Doricoのインストール★ここでeLicenserControlCenterも一緒にインストールされる
  4. eLicenserControlCenterを使ったDoricoのアクティベーション
  5. 完了!

です。基本的な流れとしてはこちらでOKなのですが。

私がインストールしようとしたPCは、ウイルス対策ソフトとしてESETを導入しています。このESETが、何回やっても「Synsopos.exe」をウイルスと誤検知し、全く先に進みません。eLicenserControlCenter上でもライセンス登録できうる自分のマシンが一向に現れず、見事にお手上げ状態となったのでした。

常駐型ソフト(ウイルス対策ソフト)との戦い

何回インストールしようとしても、ESETが「Synsopos.exe」を自動削除してしまう。これには本当に困りました。でも、ウイルス対策ソフトがなにか別のソフトと競合するなんて話は聞いたことないし、とりあえずやるだけやってみるか。と思いました。出てきたエラーメッセージは下記でした。

application 'LCC2' has caused the following error:

DCOM connection to program 'Synsopos.exe' failed. Error:エラーを特定できません

これに対するエラー解決方法を、下記島村楽器さんのページを参考に1つずつ潰していきました。

【FAQ】Cubase起動時にエラーが出る(Windows) – Digiland (デジランド) 島村楽器のデジタル楽器情報サイト

  1. 最新バージョンの「eLicenser Control Center」をインストール →NG
  2. プログラムを管理者として起動する設定 →NG
  3. 対策ツールを適用する →なんだかPC設定弄りたくなかったので後回し
  4. ライセンス管理を行っているeLicenser Control Centerについて管理者で起動する設定 → うまく行ったように見えるが、Doricoアイコンをダブルクリックしても起動してこない。Windows上のプロセスは立ち上がっているように見える
  5. eLicenser Control Centerに関連するファイルを管理者として実行するための設定→ NG
  6. SYNSOPOS.exeが事前に動作していないかを確認 →動作していない
  7. 3.に戻って「対策ツール」(注:島村楽器さんのサイトよりダウンロード必要)を試す。※この際ESETは停止、ネットワークも切断し、F/Wも停止状態。 →NG

一通りやってNGだったので途方に暮れました。ここからアンインストール、再インストールを何回やってもうまくいかない。5回位かな。インストールする順番も替えたり、ウイルス対策ソフト(ESET)も停止したり手を変え品を変え試すも症状も一緒。一体何が悪いのか。うーん。

eLicenserControlCenterの残骸を消すために

Doricoはまだ歴史が浅いため、CubaseのFAQのほうがなんとなくQ&Aが充実している気がしました。よって、Steingberg社、日本の代理店であるYAMAHAさんのFAQを漁っていると、こんな記載をようやく見つけました。

【Steinberg共通】eLicenser Control Centerの完全アンインストールを教えてください(Windows) - ヤマハ

エクスプローラー>「整理」メニュー>「フォルダーと検索のオプション」>「表示」タブ>「ファイルとフォルダーの表示」>「隠しファイル、隠しフォルダー、および隠しドライブを表示する」にチェックを入れます。
以下のディレクトリにあるファイル・フォルダを削除します。
※インストール状況によっては元々存在しないファイルもございます。C:\Windows\system32\"SynsoNos"、"Synsopos"、"Synsoacc"と付くすべてのファイル
C:\WINDOWS\system32\drivers\SynasUSB.sys
C:\WINDOWS\system32\drivers\SynUSB64.sys
C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOACC.dll
C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOACC-Hilfe.chm
C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOACC-Help.chm
C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOACC-Aide.chm
C:\WINDOWS\SysWOW64\SYNSOPOS.exe
C:\WINDOWS\inf\SynasUSB.inf
C:\WINDOWS\inf\SynUSB64.inf
C:\ProgramData\eLicenser
C:\ProgramData\Syncrosoft
念のため、コンピューターを再起動します。

なんと、今までやっていたアンインストール方法では不十分だったということです。本当のアンインストール(?)を行うには、eLicenserControlCenterの残骸をすべて消す必要がありました。その邪魔なファイルたちが上記たちです。なんだよ、この仕様。普通アンインストールしたら邪魔なファイルもすべて消えるだろうに。その辺の某大国ソフトだってこんな陰険なことしないだろーに。ムキー!ということで、気分を一新し、もう一度インストールやってみました。

予想通り、ESETが「SYNSOPOS.exe」を食ってしまい、先に進みませんでした。ムキー!こうなりゃやけっぱちもいいところです。インストール時のLogファイルをもとにして、ESETで下記フォルダを検索対象から除外して、アンインストール&再インストール。罠にかからないように、臭いところに穴を作ってみたわけです。

  • C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Temp
  • C:\Program Files (x86)\eLicenser\POS\*
  • C:\ProgramData\eLicenser
  • C:\ProgramData\Syncrosoft

結果…この罠には引っかからず。以下エラーが発生しました。…その結果、私はESETとDoricoの共存を諦めることにしました。がっかり、ESET。いや、どちらかというとSteingberg社のプログラムの作り方によっぽど問題があると思うなぁ…。

Generik.BSZQABHの亜種 トロイの木馬 

削除によって駆除されました

サブ機での手順の確立

上記を踏まえた上で。ESETを外した状態でのインストールを試してみる機会がやってきました。環境は、なにかあったとき用に玩具用として揃えているWindows/Linuxのサブ環境です。メイン環境との違いは、ESETをインストールしているか、どうか。いままでに得た失敗談を踏まえ、なんとなく作ってみたDoricoインストール方法です。

  1. Steingberg社への登録、アクティベーションコードの入手
  2. Steingberg Download Assistantのダウンロード・インストール
  3. Dorico各種プログラムのダウンロード
  4. ★重要★ウイルス対策ソフトの停止、ファイヤーウォールの停止、ネットワークを切断。(具体的には、WindowsDefenderの停止、WindowsFirewallの停止、有線LANアダプタの無効化)
  5. Doricoのインストール。(一緒にeLicenserControlCenterもインストール)
  6. ウイルス対策ソフトの以下フォルダを検知除外設定を実施(注:下記)
  7. ★重要★ウイルス対策ソフトの有効化、ファイヤーウォールの開始、ネットワークを接続。(具体的には、WindowsDefenderの開始、WindowsFirewallの開始、有線LANアダプタの有効化)
  8. eLicenserControlCenterを管理者権限で起動、メンテナンスの実施、アクティベーションコードの入力
  9. Doricoを管理者権限で起動
  10. Dorico起動のスプラッシュ画面がでて無事Dorico起動!
  11. ※ダブルクリックしても何も反応がない場合は、インストール失敗している状態です。タスクマネージャーでDoricoが起動していても起動画面が出ていなければ、今までインストールしたすべてのファイルを削除した上で、前述のゴミファイルをすべて削除。もう一度最初から試してみましょう

※注:ウイルス対策ソフトの対策除外フォルダ

  • C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Temp
  • C:\Program Files (x86)\eLicenser\POS\*
  • C:\ProgramData\eLicenser
  • C:\ProgramData\Syncrosoft

おそらく、上記の手順でうまく行かない場合は…一体何なんでしょうか。YAMAHAさんに聞いても、Steingbergさんに聞いても「まっさらなWindowsからインストールしてください」としか言われない気がします。。。が、もう一度声を大にして言いたい。ソフトが起動しないのではなく、ライセンス管理しているeLicenserControlCenterがクソである問題であると!

上記手順を確立した上で、メイン機(ウイルス対策ソフトをESET→Nortonに変更し、ウイルス対策ソフトの対象除外設定まで設定済み)へ設定したら、なんとかうまくいきました。ただ、よく固まる。やっぱりまともに使うのであればウイルス対策ソフトは外したほうがいいのかもしれません。(私はメイン環境をそんな状態で使う勇気はないのですが…)

このDorico、使える状態にたどり着くのにまる3日くらいかかりました。正直、いままで人生の中でこんなに難解なインストールを要求されたのは初めての経験でした。(たとえWindows95をフロッピーディスクでインストールしたのだって、半日もあれば無事インストールできてたもの。たしか、多分。)

というわけで、CubaseやDorico、その他Steingberg製品のインストールにほとほと困っている方のお役に立てれば幸いです。皆様のご武運を祈念しております。